腕時計の修理FAQ
下記のメンテナンス方法、修理方法で生じた損害について当サイトは一切保証いたしません。試す際は自己責任でお願いいたします。
ケース・風防の修理
ケースや風防など、腕時計の外装部分に起こりうる故障やキズについての対処方法です。
ケースの汚れ
- 黒い汚れが付着した
- 腕時計は使用後、乾いた布で拭いてから保管することが取り扱いの基本であるが、これを怠ると汗や埃が固着して腕時計に蓄積することがある。多くは乾いた布で拭くことで取り除けるが、取れない場合は水で濡らし固く絞った布で拭く。それでも落ちない場合は柔らかい歯ブラシを使い、丁寧に汚れを取り除く。
- 水では落とせない汚れが付着した
- 油性の汚れは水で落とすことが出来ません。ベンジンやアルコールなどの油性の液体で汚れを落とす。この際、風防などのプラスチック部分、革ベルトなどに油性の液体が付着すると変形、変色することがあるので注意すること。またミネラルガラスがアルコールに触れるとヒビや割れの原因となるので腕時計の素材を理解しておくことは大切である。
ケースのキズ
- 薄い線のようなキズがついた
- 鏡面仕上げが施されたステンレススチールのケースは、金属用の研磨剤を用いて研磨することで大抵のキズを取り除くことができる。また金などの比較的やわらかい素材の場合も、専用の研磨剤でキズを落とすことが出来る。
- ヘアラインを消してしまった
- 使用していて、またキズを取り除こうと研磨した際に、本来あったヘアラインが消えてしまった場合、市販の「ナイロンたわし」を使うことである程度それらしく修復することが出来る。またヘアライン仕上げにできる研磨剤も市販されているが、鏡面仕上げとの境界の処理などには専用の器具や熟練した技術が必要だ。
- 裏蓋を開けるのに失敗した
- 適切な道具と方法を用いずに裏蓋を開けると、裏蓋に致命的なキズが付くことがある。特に防水性能のある腕時計の場合、裏蓋の開閉は力の加わる作業のため、キズの深さ、大きさは深刻である。素材によってはキズ取りが出来ない場合もあり、部品の交換でしか対応できない。裏蓋の開閉は出来る限り専門の時計修理店などに依頼する方が無難かもしれない。
ケースの錆・腐蝕
- 裏蓋に小さな穴がある
- ステンレススチールは耐食性に優れた素材だが、長期の使用で腐蝕することもある。薄い穴であれば周囲ごと研磨することで見えなくすることも出来るが、深い穴や抉れの場合は市販の金属用パテで埋めるのも1つの解決手段だ。
- 錆が発生した
- 金属の大敵である錆は、ケースの内部やケースと裏蓋との隙間で発生することが多いようだ。表面に付いた薄い錆は研磨で取り除けるが、錆の浸食が深い場合はケースや裏蓋を交換する必要がある。
風防のキズ
- プラスチック風防のキズ
- プラスチック風防についた小さなキズは研磨で取り除くことが出来る。大きなキズも目細かさの異なるサンドペーパーを段階的に用いて磨いた後、プラスチック用のコンパウンドで磨くと薄くすることができる。
- プラスチック風防の劣化
- プラスチック風防は経年により劣化することがある。表面以外に同心円状の輪が見えたり、ヒビや収縮、また部分的な変色が発生したら交換のタイミングと考えて良い。交換を依頼する修理店や純正部品かどうかにもよるが、数千円で交換が可能である。
- ガラス風防のキズ
- ガラス風防はキズが付きにくいですが、これは同時にキズを簡単に落とすことが出来ないことを意味する。メーカーや修理店などでも多くは交換で対応する。ガラス用のキズ取り剤も市販されているが、施術は大変な作業となるので費用、仕上がり、手間、時間などを総合的に判断して実施するのがよいだろう。
- ガラス風防の欠け
- ガラス風防が欠けた場合、そこから水などの進入の可能性があると同時に、その箇所からさらに大きな破損に発展する可能性もあるので交換することをおすすめする。
精度不良の修理
腕時計の時間が遅れたり進んだりする場合の修理方法です。
動作
- 腕に付けると時計が遅れる
- 通常、自動巻の腕時計は腕に付けている限り動き続ける。身につけている時の運動量が十分にあり、手巻きで補助すると問題なく動作する場合は自動巻機構が原因かもしれない。
- 腕に付けると時計が止まる
- 机の上などに置いていると問題なく動作しているにもかかわらず、身につけたり傾けると運針が止まる場合がある。このような時はテンプの軸が折れている可能性がある。古い腕時計ではテンプの軸が弱っていることがあり、故障しやすい箇所でもあるので早めに修理店などに相談したほうがよい。
帯磁
機械式時計の帯磁
機械式時計は潤滑油の劣化や汚れの蓄積などで徐々に精度が悪くなるが、昨日までは正常に動いていたにもかかわらず今日になって極端な進みや遅れが生じた、というような場合、腕時計が磁気を帯びた可能性がある。
クオーツ式時計の帯磁
アナログクオーツ式時計はステップモーターが内蔵されているため、強い磁界では針が進んだり止まったりする。多くはその環境から離れると元に戻るが、まれに機械が磁化してしまい正常に動作しないこともある。
帯磁の原因となりやすい環境
- 身の回りの道具
- 携帯電話、電話機、ドライヤー、電気シェーバー、電磁調理器具、鞄の口金
- 電化製品
- スピーカー、電話機、電子レンジ、ブラウン管テレビ、電気毛布、電磁調理器具
- 健康器具
- 磁気ネックレス、シール型磁気治療器
- その他
- 磁石、電動マージャン台、モーター
帯磁の確認と修理
磁気を帯びた腕時計に「方位磁石」を近づけると、ゆっくりと針が振れる。また、分解した際、磁化した小さな部品がピンセットにくっつく。これを回復するには「脱磁器」を使用するか、分解して各部品の磁気を除去する。
自動巻機構の修理
現在販売している機械式時計の多くは自動巻の機能を備えている。自動巻機構に発生したトラブルについての解説です。
異音
- シュルシュルと音がする
- 自動巻のローターが回転する際、音を伴って回るものもあるが、それまで無かった音がするようになった場合、ローターとケース内部がどこかで接触している可能性がある。ローターのゆるみやゆがみ、部品の外れが疑われる。
- コトリコトリと音がする
- 自動巻の時計で半回転タイプのものはローターが回転運動ではなく往復運動である。ローターが往復運動する際、ケース内部で極軽い衝撃があることを感じるが、半回転式の特徴なので問題はない。
- ブルンブルンと音がする
- 竜頭を使って手巻きで巻上げたり、軽くケースを振っただけでも高速で回転する音が聞こえる場合がある。これはローターの回転が好調である場合と、逆に油切れで不調になっている場合がある。あまりにも大きな音の場合は確認、調整が必要である。
ベルト・ブレスの修理
装着感に大きく影響するベルト、ブレスの修理についての解説です。
ベルト
- ベルトが臭う
- ベルトは汗やヨゴレを吸収しやすく、条件がそろえばカビの発生や腐敗などの劣化を避けられない。ベルトは、腕時計を構成する部品の中でも数少ない消耗品であると考え、積極的に交換することをおすすめする。
- 硬くなった
- 天然皮革のベルトは長い間使用しないと硬化する。革用のグリースなどで元に戻ることもあるが、グリースの臭いや使用感の観点からも交換をおすすめする。
- 変色した
- ゴムのベルトも硬化や変色が発生しやすい。一度変成したゴムは元に戻らないので、交換するしかない。
ブレス
- サイズを小さくしたい
- 多くのブレスはバックル部分である程度調整可能だ。それでも希望のサイズにならない場合はブレスを構成しているコマを抜き、サイズを小さくする。ブレスの調整は道具さえあれば自分で出来るが、キズが付いたり破損したりするのを防ぐためにも時計販売店、時計修理店に任せた方がよい腕時計もある。
- サイズを大きくしたい
- 多くのブレスはバックル部分である程度調整可能だ。それでも希望のサイズにならない場合はブレスを構成しているコマを足し、サイズを大きくする。余っているコマがあると良いが、メーカーの販売が終了している腕時計だとコマのみの入手は難しく、また別作することも難しいため、多くはブレス毎交換する必要がある。腕時計購入の際は腕回りのサイズの確認が大切なポイントの1つである
- キズが付いた
- 外装パーツの一つであるブレスは常にキズの付く可能性がある。ステンレススチールのブレスであれば、ケースと同様研磨である程度のキズを落とすことが出来る。ヘアライン仕上げの物は研磨後にナイロンたわしなどでヘアライン仕上げを施すとそれらしく仕上がる。
- 歪みがある
- 金属板で構成されることも多いブレスは伸び、歪みの可能性がある。ある程度であれば逆の力を加えて元に戻すこともできるが、一度変形した物を元に戻そうとすれば金属の性質上折れることもあるので丁寧な加工ができる技術と環境が必須である。
- 汚れが詰まった
- ブレスは水洗いすることが出来る。もちろん腕時計本体をブレスから外した状態で洗浄するのがベストである。超音波洗浄も可能であるが、金属の状態によってはヒビなどの別のトラブルが発生することもあるので注意が必要だ。
針・文字盤の修理
腕時計の見た目を大きく左右する針、文字盤の修理についての解説です。
針
- 針が動かない
- 腕時計の作動音はするものの針が動いていない場合、針がゆるんでいる可能性がある。取り付け直して直る場合もあるが、針の根本のゆるみは修理が困難なことも多いため、在庫があるものであれば交換する方がよい。
- 針がゆるい
- 強い衝撃などが原因で、針がゆるくなることがある。針のゆるみは修理店で取り付けを依頼します。
- 針が外れた
- 腕時計の針は金属同士の弾性や摩擦力を利用して取り付けてあるだけなので、強い衝撃などで外れることがある。針の取り付けは文字盤周囲の作業であるため、技術のある修理店に依頼するのが賢明だ。
- 針が曲がった
- なんらかの理由で針が外れた場合、そのまま放置していると針が曲がってしまう場合がある。針は細い金属棒なので、一度曲げると元と同じ状態に戻すのは難しい。この場合は針の交換が必要だが、たとえば3針の腕時計で針を1本だけ交換すると、デザインや劣化度合いによっては違和感のある腕時計になる。雰囲気を合わせた針を選んだり、全ての針を交換するほうがよい。
- 針の夜光が劣化した
- ダイバーズウオッチなど、針に夜光塗料が施されているものがある。経年により夜光が効かなくなったり、剥がれ落ちたりした場合は夜光の再塗装が可能だ。アンティークの腕時計では針の夜光のみ新しくなると仕上がりに違和感が出ることがあるため色や劣化度合いの調整が必要だ。
文字盤
- 変色した
- 文字盤は紫外線などの影響で徐々に経年変化する。アンティークの腕時計では、多くの時計の文字盤が変色している。文字盤を再塗装することできれいな状態にすることが出来るが、なかなか満足のいく仕上がりにはならず、またリダンされたものは市場価値が著しく落ちる場合もあるので、実施には十分な調査と検討が必要だ。
- 傾いて見える
- 文字盤はムーブメントに取り付けられていることが多い。文字盤のムーブメントへの取り付け方や、ムーブメントのケースへの取り付け方に精度を欠くと文字盤が傾いて見る。原因となっている取り付け方を修正すると直る。
クオーツ時計の修理
現代もっとも一般的な時計であるクオーツ時計の修理についての解説です。
電池
- 電池を交換したい
- 多くの場合、クオーツ時計の不動の原因は電池の消耗である。特殊なダイバーズウオッチなどを除き、電池交換は街の時計販売店や時計修理店などで簡単に行うことが出来る。丁寧な修理店では電池交換の際に動作の確認、パッキンの交換、簡単な清掃も行ってくれる。専用の工具があれば自分で電池交換をすることも出来る。
- 電池の消耗が早い
- 近年発売されたクオーツムーブメントの腕時計は、一度電池交換をすると2年~3年程度は動作する。電池交換後、1ヶ月ほどで電池切れとなる場合は回路の不具合が考えられる。不具合の内容次第では修理も可能だが、最悪の場合回路全体の交換が必要だ。
- 電池から液漏れが発生した
- 電池が液漏れすると、電池が使えなくなるばかりか腕時計本体にまで影響を及ぼす。長い間使わない時計は電池を外しておくようにすると、クオーツムーブメントが長持ちする。
ボタン電池対応表
日本、アメリカ、ヨーロッパ、アジア地域のボタン電池のサイズ等を調べることが出来る。
マクセルボタン電\池対応表(日立マクセル株式会社)
動作
- 動かない
- クオーツ腕時計の不動の多くは電池交換で直るものの、治らない場合は回路の損傷やゴミ詰まりが考えられる。
- 秒針が2秒おきに動く
- クオーツ腕時計の中には電池不足を秒針の運針で知らせる物がありる。ムーブメントによるが、2秒おきに運針したり、ふとみると動いていないのに振動を与えると正しい時刻を表示したりする場合は、腕時計からの電池不足を示す合図だ。
クオーツムーブメントの寿命は一般的に10年と言われている。機械式時計とは異なり、一度壊れると部品を交換して修理することが難しいため、長く使うには予備のムーブメントを確保しておくか、動作させずに保管しておく方が良い。
クロノグラフの修理
時計のクロノグラフ機構は繊細です。不必要なスタート、ストップの繰り返しは機械の故障の原因となります。クロノグラフの修理についてのFAQです。
動作
- クロノグラフが動作しない
- まずはゼンマイが十分に巻上げられていることと、プッシャーのロックが解除されていることを確認する。プッシャーを押し込む量、押し込む速度など、腕時計によって「癖」があるので、その腕時計にふさわしい力で丁寧に操作してみる。それでも動かない場合はクロノグラフを構成する機構にトラブルが発生した可能性がある。
- プッシャーが外れた
- 多くのクロノグラフのプッシャーにはバネが内蔵されているため、衝撃などで固定器具のゆるみや破損が発生すると外れることがある。まずは外れたプッシャーとその他の部品を確保する。外側から取り付けるのはほとんど不可能なため、一度ケースを開けて取り付ける必要がある。
帰零
- 針が戻らない
- クロノグラフ針を運針しながらリセットできる「フライバック機能」がついたモデル以外は、一度クロノグラフ針を停止させてからリセットするのが原則である。これを守らずに操作するとクロノグラフを壊すおそれがある。
- 針が正しい位置に戻らない
- リセットボタンを押しても針が正しい位置に戻らない場合、針のゆるみや歯車の欠けが考えられる。古い機械式クロノグラフで発生しやすいトラブルだ。
積算
- 積算が正しく行われない
- クロノグラフの30分積算計や12時間積算計は、なかなか使われることがないために故障の発見が遅れがちだ。積算計の不具合は歯車の欠けの可能性がある。
カレンダーの修理
カレンダー機能があるだけでアンティーク腕時計が圧倒的に実用的な腕時計になりますが、その分故障の発生率も上がります。カレンダーの修理についてのFAQです。
カレンダーの動作
- カレンダーが変わらない
- 大抵の腕時計は針の運針とともに自動でカレンダーも変わる。しかし中には「月」表示は手動で変えなくてはいけないものや、小の月(31日ではない月)には手動で変えなくてはいけないものもある。
- カレンダーが変わらない場合、多くは「カレンダーディスク」の歯車の欠けが原因である。毎月同じ日にちだけカレンダーが変わらない場合はこれが原因と考えられる。またどの日にちも上手く変わらない場合は日回し車などのカレンダーディスク周辺の故障が考えられる。
- 24時ちょうどにカレンダーが変わらない
- ロレックス社の「デイトジャスト」はその名の通り、24時ちょうどにカレンダーが切り替わる機能をもった腕時計である。今では多くの時計がこの機能を備えているが、逆に言えばそれ以前の腕時計はカレンダーは徐々に変わるものであったということだ。このような腕時計では22時から2時の間は徐々にデイト表示が変わっているため、カレンダーの表示がカレンダー表示位置とはずれた位置にある。
早送り
- クイックチェンジしない
- カレンダーを早送りできる機能を「クイックチェンジ」というが、古い機械式時計ではクイックチェンジできないものもある。その場合は竜頭を回して針を動かし、カレンダーを調整する。
- クイックチェンジの方法
- クイックチェンジにも様々な方法があり、「竜頭を一段引いて調整」する方法以外にも「竜頭を二段引いて調整」「竜頭を押し込んで調整」「竜頭を引き出して調整」「プッシャーを押して調整」「竜頭を引き出した状態でプッシャーを押して調整」「20時から1時の間を往復させて調整」など、様々な方法があるので自分の腕時計の正しいカレンダー調整の方法を知っておく必要がある。